アメリカにあって日本にない寿司から学べること

各国の食文化は面白い。特に他国の食を取り入れて、アレンジしたものは興味深い。今回はアメリカの寿司を取り上げたい。

寿司、と言われて何を思い浮かべるだろうか。握りずし、回転寿司、巻き寿司、手巻き寿司、ちらし寿司、押し寿司、寿司ケーキ、いろいろあると思うが、アメリカにある寿司は少し違う。

この写真は、今日のランチ、Drunken Fishという店で頼んだもの。少々値が張り、手前のRed Dragonは13ドル、奥のキャタピラ・ロールは14ドルくらいする。これだけでチップもいれて3000円以上もするのは驚きだ。そう、まずアメリカで頼む寿司は高い。

もう見慣れてしまったけど、日本じゃこの巻き寿司はなかなか見かけない。アメリカからこのアイデアを逆輸入した寿司屋も日本にあるらしいが、正直私も初めて頼んでみた。アメリカの寿司の特徴を以下にまとめてみた。

1、「寿司」といえば、みな「sushi-roll (巻き寿司)」を思い浮かべる。これが一番ポピュラーなのだ。

2、基本的に海苔は外側にこない。なぜか海苔は嫌われもの。黒い食べ物で、しかも噛み切るのが簡単ではなく、味がしない(いやするけど)ため、海苔は内側にくるものが好まれる。

3、ファンシーでカラフル。手前の寿司は、カニカマになんとアスパラガスを巻き、その上にまぐろをのせ、とびっ子?と天かすで飾り、スパイシーマヨネーズをソースとしてかけている。(正直好みではなかった)

4、揚げた巻き寿司も人気。今回初めて挑戦した。正直酢飯の風味が飛んでしまっている気がするのと、寿司が暖かいのが私には合わなかったが、寿司と天ぷらの組み合わせのようなかんじで、アメリカの方には写るのだろうか。尚、下の写真はランチスペシャルで、10.5ドル。約1050円だ。日本だと500円くらいでスーパーで買えそう。

5、日本の巻き寿司は人気がない。例えばかっぱ巻きや鉄火巻き。あと納豆まきやかんぴょう巻きは存在しない。

日本は海に囲まれた島国なんだということを改めて感じさせられる。カンザスシティはアメリカの真ん中にある市で、ということはどこの海からも遠いということでもある。西海岸までは車で30時間ほどかかる。生ものを食べることを嫌う人も多々いる。環境を考えれば無理もない。人一倍火を通すことを、魚に限らず気にしている。

寿司に限らない。ここで面白いな、と思ったのは、ある国で人気のある食べ物が、違う国でその国にあった味に改良され、取り入れられていること。例えば日本のピザなんかは、イタリアやアメリカから取り入れて日本なりに改良したもの。日本に行ったアメリカの友人は、日本のピザの小ささと、コーンが具に乗っていることに驚く。私はペペロニというソーセージをスライスしたみたいなものがアメリカのピザに乗っていることに驚く。カレーも日本にアレンジされた味。ラーメンも中国からきて、今中国に逆輸入されている。

「これは本物じゃない」「本当の寿司は全然違う」ということは簡単だ。事実でもあるかもしれない。ただ、アメリカの人にとってのこの寿司は本物で、美味しい物であることも事実なのだ。伝統が曲げられているわけではない。形を変えて受け継がれているととらえればいいと思う。

私は日本で育ったから、日本の寿司が大好きだ。築地で食べた寿司は忘れられないし、回転寿司も寿司も好きだ。アメリカ人も好きになってくれるかもしれない。でもそれは問題ではない。

寿司以外にも、ポピュラーな日本料理が増えるといいなと思っている。日本料理はヘルシーだと言われていて、確かにそうだなーと思う料理はたくさんある。ただそれが受け入れられるかもわからない。人気があるのは、ピザ、ラーメン、天ぷら、お好み焼き、寿司など、高カロリーのもので、ヘルシーとは言えないだろう。フードビジネスは面白い。違う国でどこまで自国の味が受け入れられるのか、日本料理を家庭で振舞ったときにどう喜んでもらえるのか、・・・お店を開く動機ができてしまった。チャレンジするのも面白いかもしれない。

カンザスシティには日本人人口が200~300人くらいいる。ほとんどはカンザスサイドに密集していて、アジア系のスーパーもその周辺に固まっている。かくゆう私はミズーリサイド。日本食がとても恋しい。